Archive for July 2006

15 July

「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい2006」のご案内

 従来の「全国教育研究集会」を「より国民にひらかれた集会にする」と言うことで、昨年度の大阪の集会より「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい」として夏休みに開催するようになりました。また、「全体会」と「分科会」に加えて、幅広い人の参加を募った「教育フォーラム」(テーマ別に8カ所で同時開催)がもたれるようになりました。
 今年度の「つどい」は8月の17,18,19,20日の4日間埼玉県で開催されます。
 このうち最終日20日(日)に開催される教育フォーラムのうち、「特別な教育的ニーズ」に関するフォーラムをご紹介します。
全国的な集会ではありますが、埼玉のこれまでのとりくみを全国に発信するものにしたいと埼高教障教部・埼教組障教部が中心に企画を立てています。障害児教育のリストラの「特別支援教育」ではなく、様々な障害の関係者が、地域ごとの関係者が「つながり」をつくって、すべての子どもたちの豊かな教育保障をめざす「特別支援教育」に転換しようと呼びかけています。
 日時は8月20日(日)10時から13時です。会場は、埼玉教育会館小ホール(収容人数500名)、最寄り駅の浦和駅西口からは徒歩6分です。
 内容は、
・文化行事 障害児学級や養護学校の卒業生などによる和太鼓演奏
・「みんな輝け! ぼくが、わたしが主人公(仮称)」
  障害を持つ青年たちによるリレートーク 
・特別な教育的ニーズを持つ子どもたちの豊かな教育を考えるパネルディスカッション
 障害児学校にお子さんが通う保護者
 障害児学級にお子さんが通う保護者
 ADHDをもつお子さんの保護者
 通常学級の教員
 定時制高校の教員
 フロアーからの発言

なお、参加には参加券必要です。参加希望の方は埼玉県高等学校教職員組合の小野さん048-822-7421、か桜井までご連絡下さい。


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04 July

7.2フォーラムの報告

 7月2日、川越会館会議室を会場に「未来を開く教育のつどい2006(西ブロック)特別支援教育を考える教育フォーラム」が開催されました。150名以上の参加がありました。
 アンケートも50名の方から寄せられました。多くは好評でしたが、「基調講演も、シンポジウムも時間が足りない。もっとじっくり話を聞きたかった」という意見も少なくありませんでした。また、「保護者のおもいが聞けてよかった」というものがたくさんありました。

 以下は私の感想を含めた速報です。

 柳田さん(定時制高校の先生)からは養護学校高等部から転学してきた生徒の「困った子」といわれる子どもたちも対処法や環境が変われば子どもの示す行動も変わることが具体的事実によって語られました。
 それを実現したのが、生徒の学力保障を大切にした丁寧なとりくみや定時制高校の環境、具体的には「強制」や「競争」ではない価値観、全校の生徒を全教職員で見ていこうという学校や学級の規模と教職員の意識などであることが述べられました。
 また、そうした定時制高校が、財政難を理由に統廃合されようとしている実態が報告されました。埼玉県は高等養護学校の2校新設や高校内での養護学校の分校という計画はあるようだが、それは知的障害の生徒を対象としたもので「発達障害」をもつ生徒の後期中等教育の保障ということは念頭にないようです。「パレットスクール」が「発達障害」をもつ生徒にあったものとは思えません。後期中等教育をどうしていくのかは今後の課題でしょう。

 高原さん(保護者、発達支援センター「ひまわり」代表理事)からは、保護者の立場として、共同の難しさと大切さが語られました。「子どもの症状が問題なので、子どもの人格に問題があるのではない」という子どもの見方を共有していくこと、小さな集まりでいいので地域でのネットワークをつくっていくことなどの重要性が指摘されました。
 また、子どもの学ぶ場が重要なのではなく、どういう教師が担任し、何を学べるのかが重要という指摘がありました。現在の教育の支援体制は在籍する場(「障害児学校」「障害児学級」「通常学級」)で支援内容が決まり、連続したものになっていません。そうした現状にあっては、子どもたちの居場所と出番をどうつくるのか、子どもが認められ、自己肯定感が育つ場はどこなのか、柔軟に考える必要がありそうです。

 福田さん(小学校障害児学級担任)からは障害児学級に入級してきた子どもとの実践を通して、どのような力を育てるのかを報告してもらいました。福田さんは、自分から学びたいと思うこと、そして自立の力が大切であることを指摘しました。そのためにも子どもたちの居場所があること、固定式の障害児学級の役割の重要性が語られました。現在は知的障害の学級でいっしょに学習しているが、学習課題が違うので障害種別の障害児学級が求められているとのことでした。

 大和久さん(元小学校の先生、大学講師)からは、基調講演やシンポジウムを通して、子ども理解が指導の基本で、「困った子」ではなく、「困っている子」としてとらえ支援を考えることの大切さ、そのためには子どもの家庭での違った姿などを知ることも重要です。「子どもが愛おしい」と感じた所から「子どもの味方になろう」と考えるようになることは、発達鍾愛の子どもたちへの実践だけでなく、教師の姿勢として普遍性を持つものではないでしょうか。現在、ともすると「軽度発達障害」の子どもに関して「こういう特徴があるので、このようにして指導したらいい」というようなハウツーが横行しているようですが、そうした「研修」だけでは子どもの内面に寄り添えないことへの警鐘とし聞きました。
 また、担任が抱え込むのではなく、教職員集団として受け止めることの重要性が語られました。どのように教職員の共同をつくっていくのか、具体的事実を共有していくなかで共同をつくるとりくみが紹介され、大変参考になりました。
 大和久さんは「教職員との共同」「保護者との共同」に加えて「子どもとの共同」をあげています。
 今日の「特別支援教育」の流れからすると「個別の支援さえすればよい」ということになりがちですが、発達障害を持つ子どもの場合にも仲間の中で育つこと(居場所と出番があること)が重要であることが実践を通じて紹介されました。

 「光はあたったが手があたっていない」と言われる通常の学級に在籍する「気になる子」の問題を共有することはできたのではないかと思います。また、この集会をきっかけに保護者と教員がつながって、また教育関係者以外ともつながって「一緒に考える輪を広げていこう」というメッセージは伝わったのではないかと思います。
 今後、発達障害を持たない保護者とも子育ての困難さを共有すること、通常の学級での教育の改革(例えば学級規模を小さくすることなど教育条件整備の課題など)と結びつけて発達障害を持つ子どもの教育権保障を考えていくこと、教育基本法の「改正」がどのような影響があるのかなどにもアンテナを高くして共同していくことが大切であることを学びました。


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